問 7 一分子求核置換反応(SN1反応)及び二分子求核置換反応(SN2反応)に関す
る次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a SN1反応の反応速度は、求核試薬の濃度に依存し
ない。
b 速度論的に、SN1反応は中間体を通る2段階の反
応であるのに対し、SN2反応は1段階の反応であ
る。
c ハロゲン化アルキルを、SN2反応の反応速度の速
い順に並べると、ハロゲン化メチル、第一級ハロゲ
ン化物、第二級ハロゲン化物、第三級ハロゲン化物
の順になる。
d ブロモベンゼンは、SN1反応もSN2反応も起こしにくい。
解答
a○ SN1反応の反応速度は、基質の濃度に依存する。しかし求核試薬濃度には依存しない。
b○ SN1反応は中間に炭素陽イオンを生成し、これに求核試薬が付加する2段階反応であるのに対して、SN2反応は基質と求核試薬の両方の濃度に依存する2次反応であるから、この両者が関与する1段階反応である。
c○ SN2反応は求核試薬の攻撃を受けるハロゲン化アルキル、すなわち置換基の少ない、立体障害の少ないものほど反応速度は大きい。またSN1反応では中間に生成する炭素陽イオンが置換基Rによって最も安定化される第三級ハロゲン化物がこの反応を受けやすい。
d○ このような芳香族ハロゲン化物は、求核置換反応を受け難い。SN1反応では、ベンゼンの炭素陽イオンの生成が困難である。SN2反応ではブロム原子の付け根のCに求核試薬が背面から近づけないため反応が困難である。