問 122 細胞膜に存在する受容体に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは

どれか。

a アドレナリンβ2受容体は細胞膜7回貫通型の受

容体であり、Gたん白質と共役している。

b 百日咳毒素はGたん白質をADPリボシル化し、

受容体との共役を阻害することにより、アドレナリ

ンなどの受容体作動性物質の作用を減弱させる。

c コレラ毒素はGたん白質をADPリボシル化し、

GTPase活性を失わせることにより、アデニル酸

シクラーゼ活性を低下させる。

d Gたん白質結合型受容体を介したcAMPホスホジエステラーゼの活性化に

より生成したイノシトール三リン酸(IP3)は、細胞内貯蔵部位からカルシウ

ムイオンを遊離させる。

 

解答

a○ β受容体興奮→Gsタンパクの活性化→アデニル酸シクラーゼの活性化→プロテインキナーゼAの活性化、のよっておこる。他の7回貫通型Gタンパク共役型の受容体には、ムスカリン受容体(M1,M2),ドパミン受容体(D1,D2),セロトニン受容体(5-HT1,5-HT2),ヒスタミン受容体(H1,H2)などがある。

b○ 百日咳毒素はGタンパク質(Gi)のシステイン残基をADPリボシル化する。このシステインを含む領域はGタンパク質が受容体に共役するために必須である。jこのためシステインのADPリボシル化によって、Gタンパク質が受容体に共役する性質を失う。

c× コレラ毒素はGタンパク質のアルギニンをADPリボシル化する。このアルギニンを含む領域はGタンパク質(Gs)のGTPase活性をサポートする機能を担っており、その中心となっているアルギニンがADPリボシル化されるため、GTPase活性が消失する。このためアデニル酸シクラーゼが活性化されたままとなり、cAMPが蓄積される。

d× Gタンパク質結合型受容体を介したホスホリパーゼCの活性化により生成したイノシトール三リン酸(IP3)は細胞内に出て、細胞内貯蔵部位(小胞体)からCa2+を細胞内に遊離する

<受容体伝達機構>

α1受容体興奮→Gqタンパクの活性化→ホスホリパーゼCの活性化IPによるCa2+の遊離、細胞外Ca2+の流入→平滑筋細胞の収縮など

α2受容体興奮→Giタンパクの活性化→アデニル酸シクラーゼ の阻害cAMPの減少プロテインキナーゼAの阻害→細胞内タンパクのリン酸化を抑制→NE遊離抑制など

_ β受容体興奮→Gsタンパクの活性化→アデニル酸シクラーゼの活性化cAMPの増加プロテインキナーゼAの活性化→細胞内タンパクのリン酸化→心収縮増大、平滑筋弛緩など