問 123 自律神経節に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 自律神経節にはニコチン性アセチルコリン受
容体がある。
b 副腎髄質では交感神経節前線維から放出され
たアセチルコリンが、エピネフリン、ノルエピ
ネフリンの放出を抑制する。
c DMPP(1,1-dimethyl-4-phenyl-
piperazinium)は神経節を興奮させる。
d ヘキサメトニウムは、神経節においてアセチルコリンと競合的に拮抗し、伝
達を遮断する。
e カンシル酸トリメタファンは、全身麻酔時に、神経節遮断による血圧上昇の
目的で用いられる。
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解答
a○ 自律神経節における神経伝達物質は、交感神経、副交感神経ともにアセチルコリンであり、これに対する受容体としてニコチン受容体が主な経路である。
b× 副腎髄質は交感神経支配であるが、節前線維しかないところが特徴である。節前線維から放出されるアセチルコリンは、副腎髄質のニコチン受容体に結合して副腎髄質を興奮させ、エピネフリン、ノルエピネフリンを放出させる。
c○ DMPPはニコチンと同様に神経節のニコチン性アセチルコリン受容体に結合して興奮を起こす。ニコチンは少量ではニコチン性アセチルコリン受容体を興奮させ、大量ではニコチン性アセチルコリン受容体を遮断してしまう。(脱分極型自律神経節遮断薬)
d× ヘキサメトニウムは、競合型自律神経節遮断薬である。ニコチン受容体において、アセチルコリンと競合し交感神経、副交感神経の両方を遮断するがこれには優位性がある。
e× トリメタファンは、競合型自律神経節遮断薬である。血管は交感神経が優位に支配しているので、交感神経を遮断することにより血圧を下げる。よってトリメタファンは外科手術時の低血圧維持並びに異常高血圧の救急処置に点滴静注される。トリメタファンは作用発現は速く持続は短いので副作用が出にくい。