問 127 筋弛緩薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 塩化ツボクラリンは、競合拮抗型筋弛緩薬であり、又、ヒスタミン遊離作用

も有する。

b 塩化デカメトニウムの筋弛緩作用は、ネオスチグミンで拮抗される。

c 臭化パンクロニウムは、ステロイド骨格を持つ筋弛緩薬である。

d ダントロレンナトリウムは、脱分極型筋弛緩薬である。

e 塩化スキサメトニウムは、中枢性筋弛緩薬である。

1(a、b)2(a、c)3(b、e)4(c、d)5(d、e)

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解答

a○ ツボクラリンは、末梢性競合型筋弛緩薬である。四級アンモニウムをもつので、消化管からの吸収は悪く、経口投与では無効である。ニコチン受容体でAchと競合して筋弛緩を示す。また、ChE阻害薬(フィゾスチグミン、ネオスチグミン)との併用によりツボクラリンの作用は減弱される。副作用として、ヒスタミン遊離作用による低血圧、気管支痙攣などがある。

b× デカメトニウムはスキサメトニウム同様、脱分極型筋弛緩薬。これらはChEで速やかに分解されるので、ChE阻害薬であるフィゾスチグミン、ネオスチグミンを投与するとChE阻害薬がデカメトニウムとAchの蓄積、それによる終板の脱分極の促進をもたらすので筋弛緩作用は増強される。

c○ バンクロニウムはツボクラリン同様、競合型筋弛緩薬でありツボクラリンの5倍の効力がある。

d× ダントロレン骨格筋直接型筋弛緩薬である。T管系から筋小胞体に興奮が伝えられる過程を遮断する。その結果、筋小胞体からのCa2+遊離が抑制され、筋は弛緩する。臨床適用は痙性麻痺による筋硬直に用いる。また、悪性高熱症の特効薬である。

e× スキサメトニウムは、脱分極型筋弛緩薬である。終板のAch受容体と結合して持続的な脱分極を起こし、Achに対する感受性を低下させて、神経の興奮を伝えずに骨格筋の弛緩を生ずる。