問 128 全身麻酔薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a チオペンタールナトリウムの作用が短時間で

ある理由は、代謝や排泄が速やかなためであ

る。

b 亜酸化窒素は、酸素欠乏症を起こしやすい。

c 全身麻酔薬は、脊髄の麻酔に先だって、延髄

を麻酔するものが望ましい。

d ハロタンは、カテコールアミンに対する心臓

の感受性を高め、不整脈を起こしやすい。

e 全身麻酔薬による発揚は、中枢神経の抑制系の抑制による見かけ上の興奮で

ある。

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解答

a× チオペンタールナトリウムが短時間型の全身麻酔薬である理由は、代謝や排泄が速やかであるのではなく、脂溶性が大きいので脳にすばやく入り次に体脂肪に再分布するからである。

b○ 亜酸化窒素(笑気)は、麻酔作用は弱く、麻酔効果を得るためには通常の70%以上の濃度で使用しなければならない。(GOI:笑気酸素イソフルラン:と混入)しかし酸素欠乏症を起こすので酸素欠乏症を防ぐために20%以上の酸素を併用する。従って亜酸化窒素耽読で十分な麻酔を得ることができず、他の麻酔薬(ハロタン)と併用される。

c× 脳は無数のニューロンが回路を形成しているが、最もニューロンの多い部分は大脳新皮質であるから、麻酔薬は大脳新皮質から麻酔し始める。延髄の呼吸中枢や血管運動中枢は神経回路が少ないので、麻酔に対して脊髄よりも抵抗する。このように、麻酔は大脳新皮質(痛み)→中脳(意識)→脊髄(筋反射)→延髄(呼吸抑制)の順に進行する。(不規則性規則性麻痺)。脊髄の麻痺に先立って延髄を抑制するものは全身麻酔薬としては不適である。

d○ ハロタン投与によって心筋のカテコラミン感受性が増大するので、エピネフリンなどのとうよにより心室性不整脈の危険がある。よって、プロプラノロールなどのβ遮断薬と併用する。

e○ 中枢神経の上位中枢の抑制系が先に麻酔されると抑制系の解放によって見かけ上の興奮が麻薬初期におこる。これが発揚期である。(抑制系の抑制→興奮