問 129 塩酸モルヒネに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 内臓痛の治療に長期にわたり一定用量を投与しても、意識の消失なしに

μ受容体を介した鎮痛効果が期待できる。

2 鎮痛効果は、主として上行性の脊髄-視床系知覚伝導路を抑制することによ

る。

3 モルヒネのフェノール性水酸基がメチル化された化合物は、鎮咳作用が、ア

ルコール性水酸基がアセチル化された化合物は、鎮痛作用が強い。

4 慣性中毒時にも耐性を示さない縮瞳作用は、中脳の第V脳神経(動眼神経)

核の興奮によるもので、塩酸シクロペントラートの点眼では抑制されない。

5 止潟作用は、セロトニンの遊離を介した平滑筋緊張を高める作用と、アセチ

ルコリン遊離によるぜん動運動亢進(高進)作用による。

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解答

a× モルヒネを繰り返し投与すると、耐性、身体依存、精神依存が形成されやすい。意識消失なしに内臓領域の疼痛に対しては鎮痛作用を表す。

b○ 脊髄後角にある1次求心線維終末のオピオイドレセプターと結合して、痛覚伝達物質(サブスタンスP)の遊離を抑制する。よって、上行性脊髄−視床系知覚伝導経路が抑制され、鎮痛効果が現れる。さらに、延髄の網様体から脊髄後角(知覚神経は後角から入る)への下行性抑制系をふかつする

c× 前者はコデインである。コデインは鎮該作用が強く、鎮痛作用と依存性は減弱する。後者はヘロインである。ヘロインは鎮痛作用と陶酔感が強い

d× シクロペントラート副交感神経遮断薬である。よって瞳孔括約筋を弛緩させて、モルヒネの中枢作用による縮瞳を抑制する

e× モルヒネの止寫作用は、腸管神経叢でのAch遊離抑制により、ぜん動運動抑制による。また、セロトニンを腸管壁から遊離させて腸管の平滑筋の緊張を高める