問 131 次の抗不安薬の性質に関する記述について、正しいものの組合せはどれか。

a ジアゼパムは、慢性アルコール中毒の離脱症状の予防薬あるいは改善薬とし

て適用される。

b ベンゾジアゼピン系化合物は、脊髄反射を抑制して筋弛緩作用を示すが、マ

ウスでのペンチレンテトラゾール誘発痙れんに対する抑制作用はない。

c オキサゾラムは老人性神経症の治療のために経口投与されるが、運動失調を

きたしやすく、また重症筋無力症や急性狭隅角緑内障には禁忌である。

d 催眠作用のあるチエノジアゼピン系化合物エチゾラムは、不安神経症に適用

されるGABAA受容体遮断薬である。

e ベンゾジアゼピン系化合物は安全係数の小さい薬物であり、全身麻酔薬と併

用時の呼吸抑制に対しては、フルマゼニルが用いられる。

1(a、c)2(a、d)3(b、d)4(b、e)5(c、e)

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解答 1

a○ アルコール型、ベンゾジアゼピン型依存性・耐性は良く似た症状を示す。したがって、急性アルコール中毒の禁断症状の予防・治療には主にジアゼパムが用いられる。またジアゼパムはてんかん重積症時の第一選択薬としても用いられる。

b× ベンゾジアゼピン系薬物は、脊髄においてシナプス前抑制をすることによって脊髄反射を抑制する。また、ペンチレンテトラゾール誘発痙攣も抑制する。

c○ オキサゾラムはベンゾジアゼピン系薬物で、GABA受容体機構におけるGABAの抑制性作用を増強する。したがって、抗不安作用、抗痙攣作用、睡眠導入などの作用がある。副作用として傾眠、ふらつき、弱い抗コリン作用、中枢性筋弛緩作用、呼吸抑制、精神・身体依存がある。禁忌として、緑内障(弱い抗コリン作用)、重症筋無力症(中枢性筋弛緩作用)、妊婦がある。

d× エチゾラムは、チエノジアゼピン系薬物であるが、作用機序はベンゾジアゼピン系薬物と同じである。したがって、GABA複合体のベンゾジアゼピン系受容体に結合して、GABAとGABA受容体の親和性を増大して、Clイオンの透過性を増大して神経を過分極状態にして、神経細胞膜の興奮性を抑制する。

e× ベンゾジアゼピン系薬物は安全係数の大きい薬物である。フルマゼニルはベンゾジアゼピン化合物のアンタゴニストである。