問 140 消化器系に作用する薬物に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは
どれか。
a 乾燥水酸化アルミニウムゲルは、胃酸を中和する
ことにより、胃酸やペプシンの作用を抑制し、胃粘
膜を保護する。
b インドメタシンは、抗炎症作用を持ち、胃潰瘍時
の胃粘膜損傷の治療に用いられる。
c トコン(吐根)の主成分であるエモジンは、中枢
性と末梢性の作用を有し、トコンシロップとして内
服される。
d 放射線や抗がん薬による嘔吐は、塩酸クロルプロマジンにより抑制される
が、これは延髄嘔吐中枢のドバミンD2受容体刺激作用による。
_解答
a○ 制酸剤(攻撃因子抑制剤)である乾燥水酸化アルミニウムゲルは、胃酸を中和し、またそのためペプシンの活性も低下して、胃粘膜を保護する。(ペプシンの至適pHは2程度)
b× インドメタシンは炎症部位でのシクロオキシゲナーゼを阻害して抗炎症作用を示すが、胃粘膜において、胃のシクロオキシゲナーゼも阻害してPGE2,PGI2(これらは胃酸分泌抑制作用や胃粘膜保護作用を有する)の生成を阻害するので、副作用として消化性潰瘍を引き起こす。
c× トコンの主成分であるエメチンは中枢性と末梢性の催吐作用を持ち,トコンシロップとして内服される。エモチジンは、アントラキノン系の大腸性下剤である。
d× 放射線や抗癌剤による嘔吐は、これらの刺激によって腸のエンテロクロマフィン細胞からセロトニンが遊離し、末梢迷走神経の5-HT3受容体が刺激され延髄の嘔吐中枢が刺激される。嘔吐中枢はH1受容体である。クロルプロマジンはドパミンD2アンタゴニストで、D2レセプターはCTZに存在する。末梢からのインパルスはCTZを通らず、直接中枢に入るために、反射性の嘔吐にはドパミン受容体遮断薬は無効である。