問 144 眼科領域で用いられる薬物に関する次の記述のうち、正しいものの組合せは
どれか。
a 臭化水素酸ホマトロピンは、瞳孔散大筋を収縮させ、瞳孔を散大させる。
b 塩酸ピロカルピンは、緑内障の患者の眼圧を低下させるのに用いられる。こ
れは、毛様体筋の緊張度を高めることにより眼房水の排出を良くすることによ
る。
c 塩酸フェニレフリンは、瞳孔散大筋を収縮させることから、散瞳薬として用
いられている。
d サリチル酸フィゾスチグミンは、コリンエステラーゼ阻害作用を示し、白内
障患者における眼圧低下を目的に使用される。
e 塩酸カルテオロールは、眼房水の排出を抑制する。
1(a、b)2(a、d)3(b、c)4(c、e)5(d、e)
解答3
a× ホマトロピンは、M受容体遮断薬である。瞳孔散大筋には、α1受容体が存在する。したがって、ホマトロピンは、瞳孔括約筋に作用して散瞳させる。
b○ ピロカルピンは、コリン作動薬である。したがって、毛様体筋のM受容体に作用して、_毛様体筋を収縮することによって、シュレム管が開口して眼房水の排出を促進して眼圧を低下させる。
c○ フェニレフリンは、α1受容体作動薬である。瞳孔散大筋α1刺激→瞳孔散大筋収縮→散瞳
d× フィゾスチグミンは、ChE阻害薬である。よって、Ach濃度↑→毛様体筋M受容体結合→毛様体筋収縮→シュレム管の開口→眼房水の流出→眼圧の低下。この作用で緑内障の治療に用いる。
e× カルテオロールは、β受容体遮断薬である。毛様体において、β作用によって眼房水を産生するので、カルテオロールによる毛様体β受容体の遮断→眼房水産生の抑制→眼圧の低下。したがって、カルテオロールは緑内障の治療薬として用いられる。