問 145 下の図は皮膚に作用する薬物の構造を示したものである。以下の記述のうち
正しいものの組合せはどれか。
a Aは天然の糖質コルチコイドであり、鉱質コルチコイド作用によるナトリウ
ムイオンや水分の貯留作用は弱い。
b Bは天然の鉱質コルチコイドであり、腎遠位尿細管に作用し、ナトリウムイ
オンの再吸収を促進し、カリウムィオン、水素イオンの尿中排泄を増加させ
る。
c CはBに比べると、糖質コルチコイド作用が強く、鉱質コルチコイド作用は
弱い。
d DはCに比べると、糖質コルチコイド作用が弱く、鉱質コルチコイド作用が
強い。
e EはCの親水性基を化学的に修飾するとともに、フッ素を導入することによ
り、糖質コルチコイド作用と脂溶性を高めたものであり、主に軟膏剤の成分と
して皮膚疾患に用いられている。
1(a、b)2(a、d)3(b、c)4(c、e)5(d、e)
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解答
a× Aはアルドステロンで、鉱質コルチコイドである。作用は腎遠位尿細管においてNa−K交換系に作用してNaの再吸収を促進することによって、強力な水分貯留作用を示す。C19位に−CHOをもつことが特徴である。
b× Bはヒドロコルチゾンで、糖質コルチコイドである。糖新生の促進、タンパク同化作用の抑制、抗炎症、抗アレルギー作用がある。
c○ Cはプレゾニゾロンで、1,2位に二重結合を導入することによって、糖新生の促進、タンパク同化作用の抑制、抗炎症、抗アレルギー作用の増強をする。
d× Dはベタメタゾンで、9α位にFを導入することによって糖質コルチコイドも鉱質コルチコイドも増強する。
e○ Eはフルオシノニド。