問 153 薬物の胆汁中排泄と腸肝循環に関する次の記述の正誤について、正しい組合
せはどれか。
a 薬物の胆汁中排泄は、すべて受動拡散による。
b 薬物が胆汁中に排泄されるためには、血液中の薬
物が肝実質細胞に取り込まれ、毛細胆管側膜(bile
canalicular membrane)を透過する必要がある。
c 胆汁中に排泄されるグルクロン酸抱合体は、腸内
細菌叢のβ-グルクロニダーゼにより加水分解され、
脱抱合体として腸管から吸収されることがある。
d ゲンタマイシンやカナマイシンは、腸肝循環が顕
著な薬物である。
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解答
a× 薬物の胆汁中派の排泄は能動輸送が介していることが多い。能動的に胆汁分泌される薬物としてはインドシアニングリーンやスルホブロモフタレインがある。薬物によってグルクロン酸抱合体やグルタチオン抱合体といった代謝物のかたちで排泄される。
b○ 血液から薬物は肝実質細胞に移行し、毛細管胆管膜を通過する必要がある。肝実質細胞の毛細胆管細胞膜には一次性能動輸送を行う複数のトランスポーターの存在が知られている。
c○ 消化管に存在する腸内細菌によりインドメタシンなどの薬物のグルクロン酸抱合体が脱抱合され、再び脂溶性の薬物として再吸収される。腸管循環が考えられる薬物では体内からの薬物が消失が遅延して、作用の持続化が考えられる。
d× ゲンタマイシン、カナマイシンは小腸からほとんど吸収されないで、腎排泄型の薬物である。