問 156 投与後の体内動態が線形モデルに従わない薬物に関する次の記述のうち、正

しいものの組合せはどれか。

a 腎臓のみから未変化体で排泄される薬物について、腎尿細管における再吸収

過程に飽和がある場合、投与量(D)を増加させると、Dに対する血中濃度時

間曲線下面積(AUC)の割合(AUC/D)は増加する。

b 組織結合率は投与量によらず一定で、血漿たん白結合に飽和がある薬物の投

与量を増加させると、分布容積は増加する。

c 消失が肝代謝固有クリアランス律速である薬物について、生成された代謝物

が薬物自身の代謝を阻害する場合、投与量を増加させると、血中消失半減期は

長くなる。

d 小腸上皮細胞膜透過過程で飽和現象のある薬物について経口投与量(D)を

増加させると、AUC/Dは増加する。

1(a、b)2(a、c)3(b、c)4(b、d)5(c、d)

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解答 3

a× 再吸収過程に飽和があるので、尿細管中の薬物濃度が投与量が増加することによって増加するが再吸収という能力に飽和があるので、AUCは飽和する濃度で一定になる。よって、AUC/DはDが増加するにつれて分母が大きくなるので低下する。

b○ 結晶タンパク結合に飽和がある時に投与量を増加させているので、タンパク非結合型薬物が増加するので組織移行性が高くなり、分布容積は増加する。

c○ 代謝が肝固有クリアランス律速の時、生成された代謝物が薬物自身の代謝を阻害するということは、肝固有クリアランスが低下するので半減期は延長する。

d× 小腸上皮細胞膜透過性の吸収過程に飽和がある場合、投与量を増加しても吸収されないので、AUC/Dは低下する。