問 161 ある薬物の2つの光学異性体(+)体と(−)体をそれぞれヒトに100mg

静脈内投与、あるいは200mg経口投与した後の血中濃度を測定し、表に示す結

果を得た。ただし、この薬物は肝代謝のみで消失し、体内動態は線形性を示し、

生体内で(+)体と(一)体の相互変換は起こらないものとする。肝血流速度を

100L/hrとして、体内動態の立体選択性に関する次の記述のうち、正しいもの

の組合せはどれか。

a (+)体の分布容積は、(−)体の2倍である。

b (+)体の血中消失半減期は、(−)体の5倍である。

c (+)体と(−)体のバイオアベイラビリティは、同じである。

d (−)体のバイオアベイラビリティは、25%である。

e (+)体を経口投与後、門脈血液中には投与量の100%が移行する。

1 (a、b) 2(a、e) 3(b、c)

4 (b、d) 5(c、e) 6(d、e)

静脈内投与(100mg) 経口投与(200mg)

(+)体(−)体 (+)体(−)体

血中濃度時間下面積(mg・hr/L)10 2.0 9.0 1.0

投与直後の血中濃度(mg/L)1.0 1.0 − −

_

 

解答 4

a× Vd=D/Cより、(+)・(−)は等しい。

b○ ke=C/AUC=C/ke・CLよりke(+)はke(−)の1/5である。したがって、半減期は5倍となる。

c× 経口投与のBAは、BA=AUCpo/Dpo/AUCiv/Divより、BA(+)=0.45、BA(−)=0.25となる。

d○

e× この問題では、CLint=CLh、Fh=1−CLh/QよりFh=0.9.F=Fg・FhよりFg=0.5