問 186 高齢患者の薬物療法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 塩酸アミオダロンの投与量は、高齢者では腎機能の低下が予想されるので、
腎機能に応じて減らす。
b アンチピリンは、肝シトクロムP450によって代謝されるが、その血中濃度
半減期は加齢とともに延長する。
c 塩酸プロプラノロール投与後の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、加齢
とともに増加するので、投与量の設定には注意が必要である。
d ジゴキシンは、主に肝臓で代謝されるので、高齢者の血中濃度半減期は延長
する。
1(a、b)2(a、c)3(a、d)
4(b、c)5(b、d)6(c、d)
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解答 4
a× アミオダロンは抗不整脈治療薬である。作用機構は、Kチャネルを抑制して不応期を延長する。しかしアミオダロンは、副作用が大変強く肝障害(肺線維症・間質性肺炎)を起こす。またアミオダロンは、肝代謝(CYP3A4)を受ける。
b○ アンチピリンはピリン系の解熱鎮痛剤(NSAIDs)で、血漿タンパク質との結合性は著しく低い。またアンチピリンは、肝代謝を受ける(代謝能依存性・タンパク結合非感受性型)なので、血流量には影響されず、P450と高い相関がある。また、一般的には加齢に伴い薬物代謝酵素活性は減弱すると考えられている。
c○ プロプラノロールは、非選択的β遮断薬(ISA−)であり、クリアランスが肝血流量に依存する薬物である。またP450(CYP1A2、CYP2D6)によって代謝される。加齢によって肝代謝能は低下するので、プロプラノロールの半減期は長くなるのでAUCも増加する。
d× ジゴキシンは86%未変化体で腎排泄する。ジゴキシンの強心作用は心筋細胞のNa-K・ATPaseを阻害→細胞膜Na-Ca交換輸送系の促進→細胞内Ca濃度増加→心収縮力増加。ジギトキシンは61%肝代謝を受ける。