問 197 次の症例について、病態の解釈とそれに対する薬物治療の記述のうち、正し

いものはどれか。

[症例]

70歳の男性。最近、不規則でストレスの強い生活が続いていた。3〜4日前

から時々心窩部痛をおぼえ、倦怠感もあった。起床時にトイレに行こうとして、

息切れと動悸を感じた。排便時に便を見ると黒色タール便であった。立ち上がっ

た際に意識がなくなり、救急車で病院に運ばれた。受診時の血圧は110/60

mmHg、脈拍は103/分であった。

[臨床検査値]

赤血球数195×104/μL、ヘモグロビン6.0g/dL、ヘマトクリット19%、総

たん白4.6g/dL、アルブミン2.5g/dL、血清クレアチニン0.6mg/dL、尿素窒

素(BUN)15mg/dL、GOT(AST)83IU/L、GPT(ALT)120IU/Lで

あった。

1 うっ血性心不全と考え、ジゴキシンの急速飽和を行った。腎障害があるた

め、ジゴキシンの飽和量と維持量は共に通常の1/2とした。

2 うっ血性心不全と考え、ジゴキシジの経口投与を行った。ただし肝障害があ

るため、ジゴキシンの維持量は通常の1/2とした。

3 出血性潰瘍と考え、ファモチジンの静脈内投与を行った。ただし腎障害があ

るため投与量は通常の1/2とした。

4 出血性潰瘍と考え、ファモチジンの静脈内投与を行った。ただし肝障害があ

るため投与量は通常の1/2とした。

5 出血性潰瘍と考え、ファモチジンの静脈内投与を行った。肝障害はあるが腎

機能は正常であるため投与量は通常用量とした。

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解答4

GOT・GPTの正常値は40IU/L以下なので、肝障害があると思われる。また排便時に便をみると黒色タール便が見られたことによって出血性潰瘍が疑われる。