2)分布 ( Distribution ) 過程における相互作用

吸収された薬物は生体内の各部へ分布する。
この過程で重要な薬物相互作用として、血清タンパク結合における置換現象 (displacement ) がある。
タンパク分子上の同じ結合サイトに対して、それぞれ異なった親和性を示す
2種の薬物が存在するとき、高い親和性を示す薬物は他の薬物を置換する(図5)
(図5) 図をクリックしてください


歯科領域で繁用される非ステロイド性抗炎症薬はタンパク結合に関する親和性が非常に高く、表1に示すワルファリン、経口糖尿病薬、メトトレキサートなどと併用する場合は特に注意を要す。


表1 薬物のタンパク結合置換反応とその際の作用
親和性の高い薬物 置換される薬物(A) 副作用
   
非ステロイド性抗炎症薬 
●アスピリン
●フェニルブタゾン
●インドメタシン
●ジクロフェナック
ワルファリン 出血
 
非ステロイド系抗炎症薬
スルフォンアミド類
エタクリン酸
経口糖尿病薬
●トルブタミド
低血糖
 
非ステロイド系抗炎症薬
スルフォンアミド類
メトトレキサート 血液毒性
血球減少