平成 4 年に医療法、平成 9 年には薬事法・薬剤師法が改正され、薬剤師の医療業務に対する責任と義務が謳われる様になり、医師、看護師とともに医療チームの一員として薬剤師に対する厳しい職能倫理と医薬品の適正使用を目指す高度医療への積極的な参画が要求されています。
近年の薬剤師業務は、単なる調剤から病棟、在宅医療、治験など多岐にわたっており、変貌する医療環境に十分に対応出来る職能を備えた薬剤師を輩出することは我々に課せられた使命であると認識しております。
さらには、時代の趨勢を的確に捉え新たな薬剤師の活動領域を開拓する能力や、臨床現場における様々な問題点を解決するための研究的思考能力を有する薬剤師の養成も必須であると考えています。
当研究室では、上記の内容を基本理念とした教育・研究活動の実践を目指しています。
医療薬学は単なる高度の知識・技術だけを詰め込む職能教育に終わってはいけないと考えております。薬剤師も大いに研究しなければならないのです。つまり、患者の薬物治療に貢献できうる研究テーマを拾い上げ、いずれは薬剤師側から発信する情報によって患者本位の医療に貢献する研究にまで発展できる研究能力を有した臨床薬剤師を育成することも重要課題の一つと捉えています。したがって、研究の基本方針としては、医療現場と緊密な協力体制をとりながら、常に臨床との接点を意識した基礎・応用研究に取り組みたいと考えています。
当面は、「pain」をキーワードとして患者をあらゆる痛みから解放することを夢見ながら研究活動を展開していく予定です。さらに、予防医学の観点からサプリメントの有効利用や医薬品との相互作用等に関する研究も視野に入れています。
研究活動に加え、定期的に、文献セミナー(基礎・臨床)、コミュニケーションセミナー(その場で与えられたテーマについて各自の考えを述べ、その後に皆で意見交換を行う)、症例・処方解析演習、統計解析演習などを取り入れて基礎力の充実を図っています。
臨床薬学研究室では、医療現場の多様なニーズに的確に対応し、高度の問題解決能力を有する薬剤師になるために、病院・薬局実務実習、各種セミナー、研究活動などを通じて、関連する知識・技能・態度を修得することを目標にしています。